亡くなった方に関する基本資料

被相続人（亡くなった方）の身元を証明する書類として、戸籍謄本は相続手続きの基礎となります。相談段階では最新の戸籍謄本があれば十分でしょう。住民票の除票も必要な書類の一つです。

相続人に関する情報整理

相続人全員の氏名、生年月日、住所、連絡先を一覧にまとめておきましょう。相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合は、その旨も明記しておくことが必要です。

財産関係の資料収集

相続財産の全体像を把握するため、以下の資料を収集しておきます。

不動産関係

固定資産税の課税明細書や登記簿謄本、不動産の評価証明書などを準備します。複数の不動産を所有している可能性がある場合は、各市区町村の名寄帳を取得することで漏れを防げます。

金融資産関係

預貯金通帳、証券口座の残高報告書、生命保険証券などを整理しておきます。金融機関名と支店名、おおよその残高がわかる資料があると相談がスムーズに進みます。

負債関係の把握

借入金がある場合は、借入先、残高、返済条件がわかる資料を準備します。連帯保証人になっている債務がないかも確認しておきましょう。

その他の書類

遺言書の有無は相続手続きに大きく影響するため、遺言書がある場合は必ず持参します。また、生前贈与に該当する可能性がある贈与があった場合は、その詳細についても整理しておくことが大切です。

相談前に資料を整理することで、専門家はより正確な状況把握ができ、具体的で実行可能なアドバイスを提供できるようになります。

相続発生直後の緊急対応期間

相続発生から3か月以内は最も大切な判断を求められる期間です。この期間内に相続放棄や限定承認の申述を行う必要があるため、相続財産の概要把握が急務となります。

死亡から7日以内に死亡届の提出が必要です。同時に年金手続き、健康保険証の返還、各種契約の名義変更など、生活に直結する手続きを並行して進める必要があります。

戸籍調査により相続人を確定し、財産と負債の全容を把握します。この段階で専門家に相談することで、相続放棄の必要性や今後の手続きの方向性を適切に判断できます。

遺産分割と税務手続きの準備期間

3か月を過ぎると、本格的な遺産分割協議の準備に入ります。被相続人に所得があった場合、4か月以内に準確定申告を行う必要があります。

不動産の評価、金融資産の確認、遺産分割協議書の作成を進めます。相続人間での合意形成が困難な場合は、早期に専門家の介入を求めることが大切です。

相続税申告と最終手続きの完了期間

相続開始から10か月以内に相続税の申告と納付を完了させる必要があります。相続財産が基礎控除額（3,000万円＋600万円×相続人数）を超える場合は、相続税申告が必要となります。

不動産の相続登記、金融資産の名義変更、その他各種契約の変更手続きも完了させます。令和6年4月から相続登記が義務化されているため、3年以内の完了が法的に求められています。

効率的な相談のタイミング

初回相談は相続発生から1か月以内に行うことを推奨します。相談時には、現在の進捗状況と直面している課題、今後の予定を明確に伝えることが大切です。これにより限られた時間内で最大限の成果を得られます。

相談目的の明確化と優先順位の設定

相談を始める前に、何を解決したいのかを明確にすることが必要です。「遺産分割で揉めたくない」「相続税を少しでも減らしたい」「手続きを迅速に進めたい」など、具体的な目標を設定します。複数の課題がある場合は、緊急性に応じて優先順位をつけることが大切です。

相続人それぞれの状況と希望、懸念事項をまとめておきましょう。専門家は家族全体の状況を把握することで、より適切なアドバイスを提供できるようになります。

効果的な情報提供の方法

専門家が適切な判断を下すためには、正確で包括的な情報提供が不可欠です。相続発生からこれまでの経緯を時系列で整理して説明し、現在どの段階にいるのかを明確に伝えることで、専門家は適切な次のステップを提案できます。

漠然とした不安ではなく、具体的に何を心配しているのかを明確に伝えます。たとえば、「相続税が高額になるのではないか」「相続人同士で揉めるのではないか」など、具体的な懸念を共有します。

戦略的な質問の活用

「この場合、どのような方法がありますか」「それぞれのメリットとデメリットを教えてください」など、最適な解決方法を見つけるための質問を行います。

現在の決定が将来に与える影響について質問することも大切です。「この方法を選んだ場合、将来的にどのような問題が起こる可能性がありますか」など、長期的な視点からのアドバイスを求めます。

相談結果の活用

専門家からの提案を整理し、家族と共有して検討します。専門家のアドバイスを基に、具体的なスケジュールと実行計画を立てることで、相続手続きを効率的に進められます。

相談時には、遠慮せずに疑問点を質問し、不明な点は納得できるまで確認することで、相続手続きを成功に導けます。